出生前診断の種類、時期、費用、注意点など

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妊婦さんの年齢の上昇とともに染色体疾患の発症率が上がるため、高齢出産の場合出生前診断を受けるかどうか悩んでいるご夫婦は多いと思います。

35歳ぐらいからその確率が急に上がっていくので35歳を超えた妊婦さんは特に不安になりますよね。

私たち夫婦は新型の出生前診断を受けてきましたので、その際に得た知識をここでシェアさせていただきます。

出生前診断は必ず病院で十分なカウンセリングを受けますが、その際事前に十分な知識を持っていないとなかなか決断することができません。

ですので、病院に行く前にしっかりと出生前診断の知識をつけておきましょう。

出生前診断を受ける前に知っておきたいこと

先天性疾患と染色体疾患

そもそも生まれてくる赤ちゃんの100人のうち3人~5人は先天性疾患をもって生まれてきます。

先天性疾患はお腹の赤ちゃんになんらかの障害があったり奇形だったりする病気です。

それが遺伝的なことに関係しない場合が多くを占めているのですが、そのうちの1/4(25%)程度が染色体疾患です。

これらの確率は出産年齢の上昇とともに上がっていきます。

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染色体疾患の中でダウン症候群(21トリソミー)、18トリソミー、13トリソミーの頻度が高くこの3つで70%を占めています。

染色体について

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私たちの体は染色体46本で作られていて、そのうち2本が性別に関係するもので、残りの44本がそれ以外のものとなっています。

44本の染色体には1番から22番まで番号の名前がついていて、それぞれが2本ずつあって正常になっています。

もともと1番から21番の染色体は1本少なくても1本多くても生まれてくることはできないんですね、ただ例外的に生まれてくることができる場合があって、それが3つのトリソミーです。

トリソミーと言うのが2本あるはずのものが1本多い3本あると言うことをさす言葉で、13番が3本あると13トリソミー、18番が3本あると18トリソミー、21番が3本あるとダウン症候群(21トリソミー)をさします。

流産や死産をする機会もずいぶんあるんですけど、生まれてくる可能性のあるのがこの3つの番号のトリソミーのみです。

18トリソミーと13トリソミーはダウン症候群に比べると、かなり重症な病気なので、流産や死産が多く生まれてくる割合が少なく、生まれてきたとしても、数時間や数日でなくなるお子さんがほとんどで、平均的な日数でいくと2週間ぐらいと言われています。

ダウン症は重症度が相当個人差がある病気ですが、社会生活をほとんど問題なくおくれる方から、特別な養育を必要としたり早くになくなったりする方もらっしゃるので、この3つの疾患の中ではダウン症候群と言う名前が世間一般に広く知れ渡っていると言えます。

出産年齢と染色体異常の関係

下記は厚生労働省のサイトで公開されているデータです。

年齢 ダウン症 何らかの染色体異常
20 1/1667 1/526
22 1/1429 1/500
24 1/1250 1/476
26 1/1176 1/476
28 1/1053 1/435
30 1/952 1/384
32 1/769 1/323
34 1/500 1/238
36 1/294 1/156
38 1/175 1/102
40 1/106 1/66
42 1/64 1/42
44 1/38 1/26
46 1/23 1/16
48 1/14 1/10

 
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出典:母の年齢と子どもの染色体異常のリスク | 厚生労働省

グラフで見ると40歳ぐらいから急激に上がっているのが分かると思うのですが、数字で見ると35歳からかなり確率が上がっています。

これは医師に確認すると38歳の1/102の確率が高いと言うのではなく、第一子を産んだ34歳のときと比べて高くなっていると言う考え方をしてください。数字でも見るとデータ的にはグラフが急に上がりますが、この確率と言うのも考え方次第です。

と言われます。

ただ、175人に1人という確率でなんらかの染色体異常があるというのが現実です。

※データは研究している機関や団体によって変わります。

出生前診断の種類

出生前診断の種類 検査の目的 特徴
体に負担がない 超音波検査 形態異常 赤ちゃんの奇形を確認
染色体疾患の可能性 ・非確定な診断
・偽陽性率が高い
・結果は確率で表示
母体血清マーカー検査 染色体疾患の可能性 ・非確定な診断
・偽陽性率が高い
・結果は確率で表示
母体血胎児染色体検査
(新型出生前診断[NIPT])
染色体疾患の可能性 ・非確定な診断
・偽陽性率が低い
・結果が陽性・陰性で分かる
・13,18,21トリソミー限定
体に負担がある 羊水染色体検査
絨毛染色体検査
染色体診断
遺伝子診断
・確定診断
・流産のリスクを伴う

超音波検査(胎児超音波スクリーニング検査)

一般的な超音波検査では、赤ちゃんの先天性異常などを詳細に観察していない場合がほとんどですので、超音波診断装置(エコー)で先天性異常などを確認したい場合は、胎児の先天性異常を見つける手段のひとつとして胎児超音波スクリーニング検査を受ける必要があります。

検査時期は妊娠初期の11週ごろ~13週ごろに行う初期検査と、妊娠中期の20週ごろ~28週ごろまでに行う中期検査があり、赤ちゃんの成長とともに確認できることが変わるのでそれぞれ検査で分かる異常などが異なります。

初期では主にダウン症候群などの染色体疾患の可能性を確認し、中期の胎児超音波スクリーニング検査では胎児の形態的変化(奇形)などを確認します。

検査費用は2~5万円前後で医療機関によって異なります。

赤ちゃんの向きや胎盤の位置などに左右されることがある検査ですので、非確定な検査になります。

胎児超音波スクリーニング検査の実際|国立生育医療センター周産期診療部

母体血清マーカー検査

母体血清マーカー検査には、妊婦さんの血液中の3類の成分(α-フェトプロテイン:AFP、絨毛性ゴナドトロピン:hCG、エストリオール:uE3)を測定するトリプルマーカーテスト、4種類の成分(α-フェトプロテイン:AFP、絨毛性ゴナドトロピン:hCG、エストリオール:uE3、インヒビンA)を測定するクアトロテストがあります。

ダウン症候群(21トリソミー)、18トリソミー、開放性神経管欠損症の3つの病気が検査対象となっており、検査推奨時期は、妊娠15週から18週頃までです。

検査料は2~3万円前後で、結果が出るまでに1週間かかります。

スクリーニング検査であると同時に確率で示された検査結果になるので確定診断ではありません。

そのため、正確な情報を得るためには確定診断(羊水検査) が必要になります。

母体血胎児染色体検査(新型出生前診断NIPT)

新型出生前診断(NIPT)は2013年4月に開始された新しい出生前診断で、妊婦さんから20mlの血液を採取し血液中を浮遊しているDNAの断片を分析することで、ダウン症候群(21トリソミー)、18トリソミー、13トリソミーの染色体疾患が検査対象となっています。

従来の母体血清マーカー検査と比べて非常に精度が高く、母体から採取した血液で胎児の染色体異常を調べることができるので、羊水検査などに伴う流産のリスクも無いのが特徴です。

検査も従来の検査より早い妊娠10週前後からできる。

あくまでもスクリーニング検査ですので確定ではなく可能性を見る検査ですが、陰性の場合の的中率は99.9%ですが、陽性の場合は妊婦の年齢や週数によっても若干違うものの90%弱の的中率なので、正確な情報を得るために確定診断(羊水検査) が必要です。

ただし、名目上は臨床研究と言うことになっているので、日本医学会に認定された病院でしか行われておらず、検査前後の遺伝カウンセリングの実施を必須条件としています。

現状では非常に予約が取りにくい検査でもあります。

現在のところ、新出生前診断は保険の適用されない自由診療ですので、20万円前後の費用がかかります。検査を受けられる時期は、妊娠10週目から18週目までで、結果が出るまでに2週間かかります。

また、この臨床研究に参加するには下記のいずれかにあたり臨床研究に同意しなければなりません。

分娩予定日が35歳以上

ダウン症候群、18トリソミー、13トリソミーを有するお子さんを妊娠、または出産した経験がある

赤ちゃんがダウン症候群、18トリソミー、13トリソミーをもつ可能性を指摘されている

羊水染色体検査

羊水検査は、赤ちゃんを包んでいる羊水を抜いてきて染色体検査を行います。

羊水の中には赤ちゃんからはがれた細胞が丸ごと浮かんでいるので、それと丸ごと分析することができ確定検査としては信頼度が高い検査と言えます。

ただし、羊水を採取する際に針を刺すので、それがきっかけで(流体)破水が0.3%。300人に一人の割合で起こってくると言うリスクもあります。

羊水検査は、妊娠15~18週に行うことができ、ダウン症候群(21トリソミー)、18トリソミー、13トリソミー、ターナー症候群、クラインフェルター症候群、開放性神経管奇形などが分かります。

検査費用は10~15万円前後かかり、結果が出るまでに4週間かかります。

絨毛(じゅうもう)染色体検査

絨毛(じゅうもう)染色体検査は、妊婦さんのお腹から絨毛(胎盤の細胞)を採取して染色体や遺伝子の検査を行います。

羊水検査同様確定診断検査と位置づけられており、確定検査としては信頼度が高い検査と言えますが、1%の確率で「胎盤限局モザイク」という染色体正常と異常が混在した状態で結果が出ることがあり、赤ちゃんに異常がなくても異常と報告されてしまいます。その場合羊水検査や時期をずらした再検査を行うことになります。

絨毛は赤ちゃんがいる空間の外で採取できるので、赤ちゃんがいる空間まで針を刺す羊水検査と比べると、羊膜に穴があくことがないと言う利点がありますが、羊水検査と比べて妊娠のより早い時期から検査可能なので、流産の率は羊水検査よりも高い約1%程度あります。

※妊娠週数が早いほど、流産する確率が高い。

検査は10~15週ごろに検査を受けることができ、結果が出るまでに2週間かかります。

検査費用は10~20万円前後です。

出生前診断を受けると決めた場合

出生前診断を受けた結果が陰性であれば、100%では無いものの安心感が得られますので不安を取り除くことができます。

また、治療可能な異常が見つかった場合には、早期治療をすることもできます。

これらを考えると、検査をするデメリットはあまり無いと感じるのですが、金銭的なリスクと、流産のリスクをしっかりと夫婦で議論しなければなりません。

流産は確率の問題ですが、少ないながら羊水検査では0.3%(300人に一人の割合)で起こっていますので、無視できません。

問題にもなっている

新型出生前診断NIPTの精度が上がったことにより、利用する妊婦は増え、異常が判明した場合96%の方が中絶を選ぶと言うことがニュースになりました。

ダウン症は社会生活がほぼ問題なくおくれる人がいるのに、出生前検査の対象になると言うところが倫理的に問われています。

親が生まれてくる赤ちゃんの命を奪ってもいいのか、子供を作ったからにはそういうリスクも受け入れるべきだなど、様々な議論があり、今後さらに議論が大きくなっていくと思います。

中絶を決めた両親は心にダメージを負うことになり、生むことを決めた両親の現実は甘く無いでしょう。

ダウン症は個人差が大きい病気なので、生まれてきてくれても悲しい目に会うかもしれません。

どちらが良い・悪いなど誰にも決められませんが、出生前に赤ちゃんの状態を知ると言うことは、命の選択と言う心の問題に発展する可能性があることを知っておかなければなりません。

どうするかは夫婦でよく話し合い、カウンセリングを受けてから決めるのが良いと思います

出生前診断を受けるかどうかは、結果が陽性だったときにどうするかと言うことをメインに夫婦で話し合うことになると思いますが、正確な情報を得るために、大学病院でカウンセリングを受けることをお勧めします。

新型出生前診断(NIPT)は検査前後の遺伝カウンセリングの実施を必須条件としているので、強制的にカウンセリングを受けることになると思いますが、それ以外の検査を受ける場合も必ずカウンセリングを受けることをお勧めしておきます。

私たち夫婦は第一子のとき(出産時34歳)は、この新型出生前診断(NIPT)が無かったので、出生前診断を受けるかどうかを大学病院のカウンセリングを受けて決めました。

結果は診断を受けないと言う決断をしたのですが、全く勉強せずにカウンセリングをうけたので、カウンセリング後に考え方が180度変わったことを覚えています。

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